見られたくないモノ

以前も書きましたが、数年前は「大学院生」でした。お世話になりまくった師匠の恩を仇で返すかのごとく、現在は、すっかり足を洗ってしまっておりますが。しかも、今では学び舎が「職場」になってしまっているこの状況。師匠は変わらず優しく接してくださるのですが、お目にかかるたび、恐縮しまくっています。
本日、「修士論文を見せて欲しい」という仰天ビックリな申し出を受けました。同じ専攻だったN先輩の仲介で、修論執筆予定の方が訪ねてきたのです。その方と私は、初対面。しかし、よくよく伺ってみると、テーマがとても近いそうなのです(対象国は全く異なりますが)。「参考にさせていただきたいので、是非」とのことでした。
本音を言えば、そんなものは見せたくない。果たして、修論(あるいは卒論)提出経験がある人達の中で、ホイホイ気軽に他人に見せてあげることができる方は、どの位いるのでしょう?よほどの自信家、あるいは本当にすばらしい出来ですぐに学術雑誌に投稿できるレベルでもなければ、封印しているはずですよ、自分の論文なんて。私もその例にもれず、関連資料と共に、ダンボールに入れて実家の物置にしまい込んでしまっています。いつかまた、研究を再開したくなることがあったら、開けてみようと思ってはいますが。

そんなわけで、赤の他人に「修論を見せる」ということについては、激しくためらいがあるのです。申し出て来た方がむさ苦しい男性だったら、その場でお断りしてしまったはずなのですが、なんと見目麗しい「レディ」(←ミキスケさまより借用)だったので、「じゃあ、探してみますね」などと曖昧な受け答えをしてしまいました。ああ、愚かな私。
仕方がないので、今週末実家に行き、ついでに物置の捜索をしようかなと。発見されたブツを、それから数年が経過した今の目で冷静に見つめ(本当はそれすらもイヤ)、その上で貸出を判断しようかなと考えています。やっぱりダメだったら、「なくなっちゃいました、アハ☆」と言って誤魔化そうっと。